2010年11月9日火曜日

W.C.




元横綱の輪島が、アメリカ巡業の折、トイレの場所を尋ねるのに一苦労したそうだ。「W.C.」と言っても、まったく通じなかったので、横綱は発音が悪いせいだと思い込み、紙に「W.C.」と書いて見せたが、みんな首を傾げるばかりだった。


W.C.(Water Closet)は英語だが、アメリカやイギリスのトイレの標示はlavatoryもしくはrest roomが一般的である。


因みに日本の学生たちの間で使われている 「W.C.」の隠語は、ワセダ・カレッジとホワイト・クリスマス。


かつてパリのチュイルリー庭園を散策していた際に、公衆トイレの壁に大きな字で「W.C.」と標示がされてあった。 本来は英語である 「W.C.」 が、フランスではトイレの標示に使われている。果たして近隣国のベルギー、スイス、スペイン等でも、トイレの標示は「W.C.」なのだろうか?


その昔、フランスにはトイレが無かった。ベルサイユ宮殿も論外ではない。宮殿で、夜毎に催される華麗な舞踏会では、正装した紳士淑女たちが、携帯電話ならぬ携帯便器を持参していた。


携帯便器に行儀よく用を足した後は、随行の者が排泄物を宮殿の中庭に捨てたので、「ベルサイユのバラ」は肥料に事欠くことなく、すくすくと育った。だが、回廊から中庭の花壇を観賞する際に、そよ風が運んでくるのは、高貴なローズの香りではなく、強烈な田舎の香水の香りが漂って来た。


余談をもう一つ、パリには『ロダン美術館』がある。あの有名な「考える人」の格好は、どう見ても便座に腰をかけて用を足している姿に見える。それでは、人間はどうして狭いトイレの中で、よく考え事をするのだろうか。その答えは、トイレは「思考」(しっこ)する所であり「空想」(くそ)する場所であるからだ!?

新井雅之





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