フラスコの中には、俺が生きていける分だけの酸素と水、
それから塩と缶詰があればよい。
俺はまず、起きたら食べる。
そして考えて、考えて眠ってしまう。
俺は再び起きる。食べる。
考えて、考えて疲れて眠ってしまう。
来る日も、来る日も、俺は目が覚めたら、考えて、考えて煩悶する。
そして眠る。
俺は、きょうも起きなくてはならない。
俺は、きょうも食べなくてはならない。
俺は、きょうも考えなくてはならない。
俺は、きょうも眠りにつかなければならない。
限られた資源と食料を与えられて、この小さな空間に
どうして、俺は生きなくてはならないのだろうか。
俺は生きる。
その代り食べたくない。考えたくない。目覚めたくない。
俺は死なない。眠りつづけるのだ。
俺はガラス張りの向こう側を拒絶した。
俺は眠り続けるのだ。
フラスコの口の穴から恵まれた、僅かな土のなかで、
俺はひたすら眠り続けるのだ。
ある日、ふと思った。
俺はミミズになってしまったのか、それともミミズだったのか。
時折、細長い肢体をニューバネビビロバーン、波打ちながら
俺は、もう何も考えない。
ガラス張りの向こう側からは、もう一人の俺がニューバネビビロバーン
「こいつ まだ生きていやがるぜ」
冷笑している。
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