2010年11月4日木曜日

俳句




俳人の太郎は、一日一句、俳句を作ろうと心に決めた。ある日のこと、俳句が中々浮かんでこない。午前零時になれば、明日になる。時刻は間もなく午後8時。


「後、4時間か」太郎はそう呟くと、焦る気持ちを抑えようとシャーワーを浴びた。


無念無想になれ、自分に言い聞かせた。心を整えてから、お茶を飲んで、気持ちを落ち着かせた。後、2時間。どうしても句が浮かんでこない。


鼻血が出た。腹が痛い。目が痛い。歯が痛い。俳句が浮かんでこないから、頭が痛い。後、1時間。焦る気持ちを抑えた。だが、どうしても句が浮かんでこない。


後、30分。太郎は、ウンチをもよおした。トイレに行けば、良い句が浮かんでくると思った。トイレは思考(しっこ)するところであり空想(くそ)する所である。


後、10分。太郎は一週間前から便秘であった。出そう出ない。太郎はきばる。もう少しで出る。太郎は、ひたすらきばる。出る出ない。出る出ないは、芸者の時に言う言葉。


後、3分。俳句を作っているのか、きばっているのか分からない。後、1分。後、30秒。後、10秒。9、8、7、6、5、4、3、2、1、


ついに出来た!!!


「ウンチ出て俳句も出来てさわやかに」


 


新井雅之





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