2010年11月20日土曜日

アナウンサーの間違い




合格発表は早春の風物詩である。毎年その時節を迎えると「掲示板の前では、一喜一憂する受験生の姿が見られました」と、各局のアナウンサーはその模様を伝える。


 そもそも「一喜一憂」、「悲喜こもごも」とは、情況の変化につれて、一人の人間の心境を表現するものであり、群集のそれぞれの「喜」や「憂」を表現するものではない。


例えば、「A君は受験に合格したが、祖父の訃報の知らせに一喜一憂(悲喜こもごも)の1日であった」というように用いるのが正しい。


このように言葉が間違えられて用いられていると、やがてその用語が正しくなってしまう場合がある。スポーツ観戦をしていて、実況担当のアナウンサーが「この試合は〇〇選手の独壇場(どくだんじょう)です」と解説することがある。


正しくは独擅場(どくせんじょう)と言うべきである。これは、独擅場の「擅」(せん)を「壇」(だん)と誤読したためにできた語である。現在では、読み間違って誕生した「独壇場」の方を、新聞や各放送局が採用している。


「この山は女人禁制(にょにんきんせい)です」と説明しているテレビのアナウンサーがいた。男子の場合は男子禁制(だんしきんせい)と読むが、女人とくれば禁制(きんぜい)と読むのが正しい。


山巓にある伽藍の中が映されると、「ここで礼拝(れいはい)をします」と、アナウンサーは説明した。


礼拝(れいはい)と読むのは、キリスト教のことであって、仏教では礼拝(らいはい)を用いている。従って仏教では、「明日に礼拝(らいはい)夕べに感謝」と読むのが正しい。





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