指揮者の小澤征爾さんがスランプの時、偶然に海外の空港で作家の井上靖さんと遇った。
井上靖さんが「音楽は世界共通ですよね。文学には言葉の壁がある」。それを聞いた小澤征爾さんは、スランプから脱出できたという。
ノーベル文学賞を廃止すると言われて久しいが、各国の言葉で書かれた文章を、英語に翻訳しなければならない。正しく言葉の壁だ。
川端康成の『雪国』はスーノー・カントリー、『伊豆の踊子』はイズ・ダンサー、何だかしっくりとこない。イズノオドリコは伊豆の踊子であって、イズ・ダンサーなどではない。
今日、テレビで放映されていた、松尾芭蕉の俳句の件(くだり)に、「凍てつく」とあった。英語に訳すと「フローズン」。何と味気のないことに、なってしまうのだろう。
文学には翻訳という言葉の壁がある。しかも、アルプスよりも高くそびえる壁である。
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