2010年12月22日水曜日

月と星




* デンバーにお住まいのT・Aさんからのご質問です。


 


産経電子新聞の『俳句と短歌』の欄に掲載されていた、黛まどかさんのエッセイ『待宵の月』を読まれたT・Aさんは、「 ・・・・・・ やや欠けた月を尊ぶ美意識は、日本人独自のもののようだ」という一文に疑念を抱いておられます。


T・Aさんは、月を尊ぶ美意識は、世界の人々に共通するものであるとおっしゃるのです。


日本の絵画や定型詩、あるいは美意識的文化背景には、「花鳥風月」で表現されるわびさびが漂っています。


歳時記を見ますと、「月」に関する季語はたくさんありますが、「星」は流星ぐらいです。また『平家物語』の月の描写は有名ですが、古から日本人は四季折々の「月」を定型詩や絵画の題材として選び、欠けた月やおぼろ月を愛でるのです。


比して泰西では、天文学に優れたカルデア人が星座図を考案して以来、やがて星座図はギリシアへと伝わって、神話や伝説に結びつきました。これらは、西洋占星術の原型でもあります。


ジョセフ・コンラッドというイギリスの作家は、「月」は冷徹で恐ろしいミステリーだと言い。詩人のサンドバーグは、「月」は孤独な人間の唯一の友であると表白するのが精々です。彼らには、どうも「月」を尊ぶ習慣はなかったようです。


 





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