2011年1月9日日曜日

ビバリーヒルズ




アメリカに来て2年が経った時、僕はビバリーヒルズの、お屋敷にホームステイすることにした。


オニール夫人は優しくて、品性を感じさせる綺麗な方だ。毎晩料理を作るオニール夫人の、僕は助手だった。


週末になると、知人を呼んでパーティーが始まる。ここは僕の料理の腕の見せ所。日本料理の定番である、すき焼きと天ぷらを作れば、みんなが大喜びする。


ある晩、ミスター・オニールは、酒に酔って帰宅した。オニール夫人は留守である。ミスター・オニールは、僕を呼びつけた。


酒に酔った勢いで、僕に昔話を聞かせた。「何がマイウェイだ。三日間も待たせやがって」。後になって分かったことであるが、ミスター・オニールは元映画のカメラマンであった。代表作に『風と共に去りぬ』がある。


ミスター・オニールは、映画の撮影の際、すでに大スターであったフランク・シナトラが、時間にルーズで、撮影隊が何十人も待ちぼうけを食らったことに、未だに根に持っているらしい。


オニール邸から車で5分の所にシナトラ邸がある。ビバリーヒルズには、芸能人が数多く住んでいる。オニール邸の迎え側は、ジャズ・シンガーのエラ・フッツジェラルドが住んでいた。


北の方へ数百メートル歩くと、ロバート・ワーグナー邸がある。その隣に旧マリリン・モンロー邸がある。


オニール夫妻が、旅行に出掛けて一ヶ月間も留守にした折に、知人を呼んで庭でバーベキュー・パーティーをした。真夏だったのでプールで泳いだりもした。


今から28年、遠い思い出となった。


 





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