2011年1月15日土曜日

セーヌ




セーヌ河はたゆたうと流れて


どこまで沈みゆくのか


 


ぼくが見たセーヌは


真冬の明るいパリの街を


清涼な大気の眼で幾重にも描かれていた


春のようにまめやかしく


夏のように颯爽と外(おもて)に飛び出したくなるような


秋の静寂がジュルリー 愁いがプシュリー


星くずを降らしている


 


セーヌはパリを愛した


パリの街もセーヌを愛した


パリに住む人々も


パリの街を訪れた男も女も


そして


ぼくのような流浪(さすらい)人でさえ


パリに魅せられて


セーヌにたゆたうと流れて 沈んで


心を奪われる


 


モンマルトルの丘の絵描きたちも また


たゆたうとセーヌに流れて沈んでいく


きょうもパリの空の下で


エトランゼの夢を描きながら 歌いながら


 





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