2011年5月26日木曜日

お茶の話




♪ 夏も近づく八十八夜 野にも山にも若葉が茂る・・・


 茶摘みの時節は産地によって異なるが、東海地方では八十八夜前後の、四月下旬から五月下旬にかけて行われる。


「一番茶 摘みて畑小屋 水もなし」(石川桂郎)。四月下旬に芽摘みしたものを一番茶と呼ぶが、その味わいは格別で最上だ。


日本からの来客が次から次へと訪れると、わが家の台所の棚は、たちまち各地の日本茶で溢れてしまう。その代わりと言っては何であるが、賓客を主要観光地へ案内するのは慣れたもので、お茶の子さいさいである。


「お茶の子」とは、茶菓子の意であるらしい。お茶を飲みながらであれば、菓子類がいくらでも腹に入ることから、何の苦もなく簡単にやってのける様子を表している。


その後に、俗謡の「のんこさいさい」という囃子詞を結びつけて、テンポのある語調が広まった。


チャイナタウンにある行きつけのレストランで食事をする際に、必ず注文するのがプーアールに菊の花をブレンドしたコッポウ茶。夜は仕上げに、特製のザーサイでお茶漬けをするのが習慣になっている。


ひところ味わったお茶漬けで、忘れられないものが幾つかある。温かいご飯の上に、トンカツを載せたカツ茶漬け、岩屋(淡路島)で食べた鯛茶漬け、うなぎの蒲焼をのせたウナ茶、極め付きはクサヤのお茶漬け。


「駿河路や はなたちばなも 茶のにをひ」(松尾芭蕉)


五月には、初摘み新茶が市場に並ぶ。新芽がふくらみはじめ、これから一気に成長しようとする短期間に、黒いネットをかぶせて育てたお茶を、かぶせ茶という。二次加工を一切施さない「あら茶」のままの「かぶせ煎茶」の滋味は、「これぞ、究極の、至福の一服!」、唸ること受け合いである。(詳細:www.obubu.com





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