初めてあなたの手にふれたのは
サンタモニカの海岸通り
陽光にあふれた手つなぎの道は
思い出の彼方でまどろんでいる
夏がはじまり
ジャカランダの木の下で佇んでいると
きょうも あなたのことばかりが
洋梨の香りをたずさえて、潮騒のように騒ぎ立つ
海ツバメの羽毛のように身も心もときめいて
ぼくは勢いよく大空へと舞い上がる
ああ あなたに会いたい
ぼくの鳩尾(きゅうび)は
晩秋に回廊の柱の陰で朽ち果てた
北風に踏まれる茜葉のように
静かに燃えるだけ
青い月の光を帯びて
あなたの愛くるしい仕草は
水煙にかげるナイルの白百合
遠くから見つめていると
あなたの甘味な吐息を
ぼくの口許に感じる
ああ するとどうだろう
ぼくの胸はいたく張り裂けて
ビオラの弓弦(ゆずる)で
熱く激烈に弾き打たれる
0 件のコメント:
コメントを投稿