2011年4月18日月曜日

セーブ・マネー




僕がアメリカに渡って、一年ほどたってからガール・フレンドに巡り会った。同じアパートに住んでいた女性で、父は中国人、母はイギリス人のハーフである。


週末に、シィーナとデパートに赴いた際、スカーフ売り場の所で彼女は立ち止った。彼女が躊躇しているのに、僕はいち早く気がついた。シィーナは水玉のスカーフを気に入ったらしい。僕はシィーナにスカーフを買ってあげた。


シィーナが突然、笑顔で僕に飛びついて来て、僕のほおにキスをした。日本男児としては、公衆の面前で女性にキスをされる事は、日本の国では皆無と言ってよいだろう。僕の顔はすっかり桜色に染まってしまった。


或る時、管理人のスーザンに言われた。1ベッド・ルームに二人で住むと、セーブ・マネーになる。僕たちは共にシングル・ルームで暮らしていた。


シングル250ドル、1ベッド350ドル、二人で住めば確かにセーブ・マネーになる。シィーナは住む気があるが、僕は断った。


シィーナと映画を観に行った日に、僕たちは夜遅くに帰宅した。僕は彼女の部屋まで送って行った。シィーナは部屋の明りをつけた。泥棒が入った形跡がある。シィーナはベソをかき取り乱している。


挙句の果ては僕に八つ当たりだ。「一緒に住んでいたら、泥棒には入られなかったわ」


シィーナは、怖い、気持ち悪いと言って、僕の部屋に泊ることになった。


シィーナが呟いた「二人でシングルに住むと、更にセーブ・マネーよねぇ」





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