♪ 雨、雨、降れ、降れ、母さんが、蛇の目でお迎えうれしいな……
「蛇の目って何? 」
一緒に歌った後で、ジョイから問われた。無理もない。僕が子供の時分でさえ、蛇の目は一般的ではなかった。それでも、地方へ赴くと番傘を見掛けることがあった
きょう、6月11日は入梅。当地、南カリフォルニアでは、10月の末頃まで雨は一滴も降らない。日本列島はこれから約1ヶ月間、黒南風(くろはえ)の雨期を迎える。
山陰地方など、年間を通して降雨量の多い地域では、「弁当忘れても、傘忘れるな」と言われる程、雨傘は日常生活に欠かせない。
英国紳士のシンボルは雨傘であるが、カリフォルニアの人々は雨傘には無頓着である。多少の雨が降っても、めったに傘をさして歩いたりはしない。
雨の多い国で育った日本人は、雨が降ってくると条件反射的に、雨に濡れないようにしようとする。井上陽水さんの『傘がない』という曲の歌詞を読むと、急いで知人に会いに行かなければならないというのに、「♪ 問題は今日の雨、傘がない…… 」。よっぽど雨に濡れるのが難儀だと見える。
ジーン・ケリーは傘を投げ出して、土砂降りの雨の中で愉快に歌って踊った。ハリウッド映画『雨に唄えば』は、憂鬱な雨を愉しく表現させる為の手段として用いた。
傘のルーツをひもといてみると、雨傘よりも、日傘の方が最初に考案されていた。古代オリエントが発祥の地で、ローマ時代になってから雨傘が普及した。その後、18世紀の中ごろになると、鋼鉄製のこうもり傘の原型が出来上がった。
ロサンゼルスで生活を続けていると、多少の雨如きでは、傘の世話にはならなくなった。雨期になると、月形半平太張りに「濡れて参ろう」ということになる。しかしながら、傘の必要性を感じる場合も稀にある。
思い立ったが吉日。きょうから、自動車のトランクに折りたたみの傘を忍ばせておこう。本日(6月11日)は『傘の日』なり。
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