2011年6月4日土曜日

チェリーの味




僕が14歳の頃、大阪警察病院の神経科に入院していた時のこと。同じく患者で3歳年上の女性と、意気投合して行動を共にした。


夜、病院の屋上へ二人で足を運んだ翌朝、婦長さんに注意を促された。夜、男女が二人だけで屋上に赴くと、何か如何わしいことでもやっているのではないかと誤解されかねない。


14歳の僕は、大人って厭らしいことを考えるものだと憤慨した。二人は外出も自由にできる。病院の向かいにある喫茶店にも時々出向いた。看護婦さんに、二人が行動を共にしていないか悟られない様に、どちらかが時間をずらせて病棟に戻る。


ある晩、二人で屋上へと向かった。夜景を眺めているうちに、どちらからともなく寄り添った。彼女の愁いを含んだ瞳が僕を見つめている。彼女の瘦躯が僕の胸に収まった時、彼女は優しく瞼を閉じた。ああ、長いまつ毛が麗しい。


ファースト・キスは、レモンの味がすると聞いていたけれど、僕は甘くて酸っぱい、チェリーの味がした。





リトル東京七不思議




1. 日米文化会館、北側のアズサ通で、深夜に黒人霊歌が聞こえて来る。


2. サンペドロとセカンドのコーナーに、二宮金次郎の銅像がある。午前3時にウインクをするとの噂。


3. ジャパニーズ・ビレッジ・プラザで、ホームレスが毎晩櫓(やぐら)の上で眠る。


4. 夕刻に瘦身の白人が、頭にバックミラーを付けてジョギングをしている。


5. ホンダ・プラザの近くで、日本人と黒人のコンビが、日本語でストリート漫才やっている。


6. 50歳半ばの男性が、通りすがりの人を呼びとめて、「寿司を握らせておくなさい」と言う。


7. 泳ぐ格好をして歩く女性が、時々出没する。





2011年6月3日金曜日

道楽




アメリカのフランス料理レストランは、僕の舌を満足させてくれない。趣向を凝らした盛り付けだけが豪奢(ごうしゃ)である。味の方は少しばかり不味だ。


日本ではフランス料理の超高級店に行けば、それなりに美味しい。だが、目の玉が飛び出るほど高い。


フランス料理は本場に限る。名の通った三ツ星レストランではなくとも、ブラッスリーでも僕の舌を満足させてくれる。


かつて僕がフランスへ頻繁に行っていた頃、モンパルナス駅の近くに男性が二人きりで、切り盛りしている食堂を見つけた。路地を入ったところで分かりにくい。そんな場末の食堂でさえ、舌鼓を連打した。


安価で美味いから、僕がパリ滞在中は、食堂『マリア』を贔屓(ひいき)にした。パリは至る所に、安価で美味しい食堂がある。


パリには美味しい惣菜店も充実している。帆立て貝のテリーヌとフォアグラのテリーヌを買って、パンとチーズとワインがあれば、安ホテルでディナーを楽しむことができる。


また、パリの総菜店のスモークサーモンは、度肝を抜かれるほど最高に美味しい。毎回LAに持ち帰ることにしている。


僕がフランスに出向くのは、敬愛するシャルル・ボードレール先生の研究が目的。ホテル・ソルボヌに投宿して、ソルボヌ大学の図書館に通う。モンパルナス墓地には、幾度も通った。ボードレール先生の墓の前で、何枚も写真を撮った。ボードレーヌの研究をしても、お金にはならない。早い話が道楽である。


僕が日本にいた頃は、文学極道であった。極道から道楽へ出世をしたものだ。同じようなものか?





2011年6月2日木曜日

民主党




民主党はマニフェストを守っていない。天下り問題も野放し状態のままだ。


日本の政治は、公務員の公務員による公務員のための政治だ。


期待していたのに、鳩山政権と管政権にがっかりとした。


ニュースを聴いていて、愕然とすることばかり。


僕の病状をこれ以上悪化させないでくれ。





リーダーシップ




このところ数日、テレビばかりを観ている。5月は通院の日は1日だけだったので、朝から晩まで、テレビにかじりついていた。


テレビで観ている限りでは、管直人総理大臣の姿勢が悪い。はきはきと発言することが出来ない。背筋を伸ばして、大きな声で力強く意見を述べることによって、国民に信頼と安心を与える。 


アメリカのオバマ大統領は、姿勢が良くて演説も上手い。おまけに行動も早いし実行力もある。リーダーシップが、あるかないかの違いによって、政治に大きな差が出る。





2011年6月1日水曜日

夢を食べるイタリアン




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サンタモニカのイタリアンレストラン『Drago』に、3年振りに赴いた。


訪れたのは2度目である。いずれもランチ・タイム。2回とも僕がオーダーした料理は、カラスミのスパゲティ(Bottarga)14ドル。(写真)


あっさりとしたコクがあり、正しく調和のとれた風味と旨味。サンタモニカのそよ風が心地よい。夢を食べるイタリアンに、僕は舞い上がる。


詳しくはホームページを見てネ!





『花亀』




90年代初頭、リトル東京のホンダ・プラザに、天ぷら屋『花亀』があった。主人の職人は無口で計算高くない、商売が不得手な人物であった。女将さんは奇人である。


そんな二人が、店を切り盛りしているのだから、ご多分にもれず不協和音が轟く。店には何時も5歳の娘がいて、客から客へと戯れる。客は笑顔で対応するも、本心は迷惑だ。メニューには娘の写真が貼り付けてある。


天ぷらの味は、日本の天ぷら屋以上に美味しい。聞くところによると、東京の有名天ぷら店、一見さんお断りの店で修業したとか。


天ぷら油は、サラダ・オイルにゴマ油を少し入れて使う。関西では綿実油だけで揚げる。その方が美味しいと大将に告げると、2週間ぐらい経ってから、日本から綿実油を取り寄せたと、『花亀』の大将は僕に報告をした。


刺身定食もある。これがまた鮨屋の刺身よりも美味い。リーズナブルで佳味とくれば、繁昌しても、よさそうなものだが、店の雰囲気が悪くて何時行っても閑古鳥。


最後の常連は僕一人になった。2年余りで店をたたんだが、負債を抱えるも家族3人で、2週間イギリスで夢のバカンス。


それにしても、『花亀』の天ぷらは、超美味かった。今でも江美子と語り草になっている。